日本の歴史上、最高権力者というのは形の上だけの場合が多いようだ。
実質的な決定は部下の者たちに任せて、殿様とか将軍は「よきにはからえ」と上から見ているものとされた。
たまに積極的にやろうとすると、「殿ご乱心」と押し込められたりした。
いまの日本でも、どうもその伝統は受け継がれているらしい。
ある面では、限定的には民主主義的だった、とも言えるかも知れない。

 近代になって、西洋から民主主義がお手本として入ってきて、議論をつくして後、最高責任者が決定する、という制度になったようだが、どうもこれはオモテの形の上だけで、実質的には、ウラの稟議(りんぎ)とか、根回しが大事で、その揚げ句に全員一致のような「和」の決定になる。
見方によれば、これはいわば、伝統的な日本的民主主義であるとも言えるだろう。
それはそれなりにいい面を持っているし、また根の深い伝統に基づいていて、容易には変えられないだろう。