ブラッドハーレーの馬車 - 沙村広明

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)


一回目は流し読み程度だったので
もう一度読んでみた
面白い
冬目景イエスタディをうたっては日常を淡々と描いていたが
こちらは少し特殊な時代背景の場所を淡々と描く
描写は僅かにグロいながらもそれよりも痛い精神的苦痛
しかしそれを美しいとさえ思える
昔ながらのショートフィルムをぼーっと見ているような感覚
彼女達はどこか人形のように見えるのだ
それにより読んでいて嫌悪感よりやるせなさが伝わってくる
この筆者の画力によるものも大きい
無機質に描かれる美しい少女達は御伽の世界の住人を思わせる
舞台の上で与えられた役を精一杯演じて死んでいく
そこに見えるのは生きるという行為そのもの
彼女達は誰も恨まないし愚痴も言わない
ただ理不尽という名の現実を受け入れいつか終わると信じて眠りにつく
読み終わった後に疼く罪悪感と満足感
満足感?
自分はあの囚人達と同じ目で読んでいたのか?とはっとさせられた
他にも書きたい事はあるけれど他で書かれているので割愛