本日の良い話

日本に留学して3年後に父に会いに行きました。いろいろと聞かれ、一番印象に残った会話は、和服姿の女子学生と一緒に撮った写真を見せた時でした。その和服姿がとても綺麗だったので、父は女の子の背中の帯を指して、「この中に化粧道具が入っているのか」と僕に尋ねました。その時、僕はすぐに「お父さん、ここには何も入っていないよ」と答えてしましたが、あえて本当のことを言わなくても良かったと、後から反省しました。

 帯の中に化粧箱が入っているとした父の“勘違い”は、異国の見知らぬモノに対する憧憬の念だったのです。和服姿の日本女性がなぜあれほど美しいのか、あれこれと思いを巡らした結果、父なりに出した1つの答が、「化粧道具を密かに持ち歩いている」というものでした。振り返るとその時の父の表情は、神秘なものに魅了され、夢とロマンに満ち溢れていました。

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