真夏の怪談(3)在る夏の出来事

...

何年か前の夏に皆でドライブに行った時の事...




その頃はみんな免許取立てで運転したくて仕方が無かった...

夏休みだし何処か少し遠いところへ行こうという事になり

皆で集まって企画をした...




まぁ 企画といっても

どこを通ってどこへ行く位...

とある病院跡に行こうという話になった...



夏ではよくある話だ...



僕らは男七人で車二台で

「色気が無いよなぁ」

とか

「むさ苦しいなぁ」

って言いながら夜のドライブを楽しんでいた

途中の休憩地点でコーヒーや運転しないやつはお酒買って呑んだりした



...



目的の場所まで後少しのところだったと思う...

明かりの少ない山道でトンネルがあって其処を通ったときに

オーディオにノイズが



...ざ...



と入った...


あれ?とは思ったのだが気づいたのは運転していた人だけらしく

特に気にも留めずにいた...



...



目的地到着...


一人が車から出たくないと言い出した


こういう場所にはよくある話だろうという事になり

一人置いて6人で探索に出た



其処はただの原っぱでもう病院の跡形すらなかった


だけれども

ただ冷たい空気...
湿った匂い...
足を踏み出すのに妙に力のいる地面...


30分も居ないうちに
みんなの目が
「ここはヤバイ」
と言っていた


皆、目の合図で一目散に車の止めてあるところに戻る...


...



あれ?
一人足りない...

「ねぇ ○○はー?」

「んー? ありゃ いない...」

まさかとは思うがとにかく探しに行く...



...



さっきの所まで戻ったがやはり居ない




仕方ないので車に戻る...




すると車の中に居た...


「なんだよ 戻ってたんなら携帯に連絡くれてもいいだろ?」



「...ん...ああ ここ圏外みたいで...」



「え? あ ほんとだ」


「顔色悪いけど平気?」


「ん なんとか...」



「じゃぁ そろそろ帰りますか」



帰り道の打ち合わせをもう一人の運転手と...


「あのさ さっき通ったトンネル? ちょっと通りたくないんだけど 他に道ある?」

「え? なんで?」


「い...いや なんか気味悪いと言うか...ステアリングが妙に重たくなったから...」

「そっちも? こっちはオーディオにノイズが入ったよ...」




二人して顔を合わせて

「じゃぁ 帰りはこっちからいってみるか」

「おう」


「二人気分があまりよくなさそうだからこの辺で休憩しよう」

「OK」




キーを回す...



?...



「なんか掛かりにくいな...今までこんな事無かったのにな...しっかり点検して来れば良かったかな」




帰り道...




トンネルだ...



...ざ...


!?


「またか...」

「これラジオじゃないんだよね?」

「さっきからCD入れ替えてるのオマエだろ...何言ってんだよ」

「そか そうだよな...なんだろうね このノイズ...」

「さぁねぇ...」


ざ...ざ...


それは流れているアップテンポの曲とはお構い無しに入ってくる

まるで何かを話したいかのように...



ざ...ザざ...



確かにステアリングも少し鈍い気がする...


少し疲れているのかもしれないな
初めての長距離運転だし...



ざ..


トンネルを抜ければもう少しで休憩地点だ...


...



!?

あれ?
「今なんか人いなかった?」
「え? いや見てないけど 怖い事言うなよ...」
「おっかしいなぁ 錯覚か?」

今運転している車はスモークが張ってあり
バックミラー越しだと夜はほとんど何もみえないのだが


やけにはっきりと白っぽい人影が見えたような...



前の車がハザードを焚いて停止した...

それに倣う...


「おい! 今の見たか?」

「え? 何を?」

「人じゃなかったか?」

「あ お前も見たの?」

「こっちは乗っているやつ全員見たぞ」

「...ちょっと見に行くか...?」

「そ...だな...」


七人で歩いてその場所まで行く...



...



その場所は崖の向こうだった...!