よーと嘘

目標はショックを与えず、考えてもらって、何を言いたいのか理解してもらうこと。

け「よーくんよーくん。真面目な話がありますので遊ぶのを止めてこちらを向いて下さい」
よ「はい」(この時点で何の話か気付いている)
け「良いですか?」
よ「…いい…と思う」(怒られると思っている)
け「嘘をついてしまったときにどうしたら良いと思う?」
よ「(5分位考えてから)…うーんと…謝る…?」
け「誰に?」
よ「嘘をついた相手に」
け「どうして?」
よ「(ちょっと考えてから)…嘘が悪いことだから」
け「どうして嘘が悪いことなの?」
よ「(5分位考えてから)…わかんない…」
け「狼少年って話知ってる?」
よ「知らない」
け「村に駆け込んで狼が来たぞーって毎日悪ふざけする子が居てね。最初は村人たちは驚いて大慌てだったんだけど、嘘だとわかると無視するようになって、実際に狼が来たときに誰も助けてくれなくて食べられちゃうっていうお話」
よ「知ってる!」
け「どうして村の人達は助けてくれなかったんだろうね?」
よ「…わかんない…」
け「これは村の人達も悪いから例えが悪いか…じゃあよーくんがお友達と遊ぶ約束をしました。けれどもそのお友達は遊んでくれませんでした。これを嘘とします」
よ(コクンと頷く)
け「これが三回繰り返されました。お友達は特にごめんなさいもせずにまた遊ぶ約束をしようとしてきました。よーくんは遊ぶ約束をしますか?」
よ「…しない」
け「どうして?」
よ「また嘘かもしれないから」
け「そうだね。嘘をつかれる度に何かのパラメータが減ってると思わない?」
よ「減ってる」
け「何が減ってる?」
よ「…信用?」
け「そう、信用が減ってるね。じゃあ減った信用はどうやって増やしたら良い?」
よ「(5分位考えてから)…わかんない…」
け「簡略化するけどこの場合、本当に遊んでくれないとまた遊ぼうと思わないよね」
よ「カンリャクカ…」
け「話を簡単にすると、ってこと」
よ「簡単になってない…」
け「わかりやすいようには話すよ」
け「で、本当に遊んでもすぐにその子を信用できる?」
よ「わかんない…何回か遊ばないと…」
け「そうだね、嘘をつかれてしまうと、何回か遊ばないと信用できないよね」
よ「うん」
け「仮に1回の嘘に対して5回の本当の約束が必要だとします。要は一回約束破られたら5回は遊ばないと信用が元に戻らないということね」
よ「うん」
け「僕はよーくんが嘘をついていることを知っています。よーくんはどうしたら良いでしょうか?」
よ「(5分位考えてから)…ごめんなさい」(やば、半泣きになってしまった…!)
け「嘘をつかれると僕はよーくんに対してどう思う?」
よ「信用してた…」
け「のが?」
よ「なくなる」
け「じゃあ、それを戻すには?さっきは本当に遊べば戻ったよね」
よ「(5分位考えてから)…わかんない」
け「謝るのも大切だけれど、嘘をついたことを自分から言うんだよ。怒っていないし怒らないから何に対して嘘をついたか言ってごらん?」
よ「お友達にぶたれて鼻血出たって言ったこと。鼻血は出たけど、ぶたれたのとは関係なかった」
け「その後先生に鼻血が出たことについてのお手紙を出したらよーくんは先生に渡さずに持って帰ってきたよね?それはなぜ?」
よ「ぶたれてないのにその子が怒られると可哀想だと思ったから…」
け「その子がぶってないって言ったら?」
よ「僕が先生に怒られる」
け「その後、先生がそのことを僕にお手紙で書いたら?」
よ「僕がけなくに怒られる…」
け「一つ目の嘘を守る為に更に嘘をついてるね?」
よ「うん」
け「一回嘘をついただけなのに、多分その子の信用は失くすし、先生にも僕にも怒られてしまう」
よ「うん」
け「嘘ついた方がめんどくさいんだよ。でも嘘をつくのは簡単だし、つい嘘をついてしまうことも、結果的に嘘になってしまうこともあるし、良い嘘もある」
よ「良い嘘?」
け「…うーん、良い嘘…ねぇ良い嘘ってなんかない?」
あ「人の為につく嘘とか?」
け「あ、それだ、病気で死んでしまう人に対してドラマとかで大丈夫きっと治るよって言ってるよね。あれは良い嘘」
よ「うん」
け「よーくんが狼少年じゃないってどうやって証明する?」
よ「(5分位考えてから)…わかんない…」
け「難しいよね。嘘をついてないという証明は難しいんだよ。でも嘘をついてしまったら疑われる。だから嘘をつかない方が楽なんだよ」
よ「わかった…」
け「はい、じゃあおさらい。嘘をついてしまったときはどうしたら良い?」
よ「謝って、嘘だったことを言う」
け「正解。よしよし頑張ったね。お風呂行ってサッパリしといで」



け「あー緊張したー、泣かせないのを目標だったのに泣かせてしまったー」
あ「悪いことをしたと思ったから泣いたんだよ」
け「そ、そうか…自分だって正しいことばかり言ってる訳じゃないから難しいし疲れる…もう寝る…」